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法話
金龍寺の住職・並木泰淳による法話。
どなたでもご自由にお読みいただけます。


並木 泰淳
2024年6月3日
「施餓鬼を催すこと」
お盆の時期が近づくと、臨済宗寺院では施餓鬼法要が催されます。 僧侶が施餓鬼のための陀羅尼(呪文のようなもの)を唱えながら、水と米を餓鬼に供えます。『救抜焔口餓鬼陀羅尼経』 によると阿難尊者が静かな処で瞑想していると、焔口餓鬼(身体は痩せ細り、常に喉が渇き飢えている)が現れ、...
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並木 泰淳
2023年2月4日
雪を担(にな)って共に井(せい)を塡(うず)む
臨済宗中興の祖と云われる、江戸時代中期の禅僧 白隠慧鶴禅師が記した『毒語心経』に出てくる禅語です。『毒語心経』は『般若心経』の経文に白隠禅師が漢文で解説をされた専門書です。 題の禅語は、 是無等等呪(他に比類なき呪文だ) という経文の解説に登場します。 徳雲の閑古錐。...
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並木 泰淳
2022年11月28日
雨を聴いて寒更尽く 門を開けば落葉多し
『大燈国師語録』に出てくる禅語です。 元は唐の時代の詩僧、無可上人の「秋に従兄の賈島(かとう)に寄す」という詩の一節です。 暝虫、暮色に喧しく 默思して西林に坐す 雨を聽いて寒更徹し 門を開けば落葉深し 昔、京邑の病に因りて 并びに洞庭心を起こす...
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並木 泰淳
2022年10月24日
紅葉に思う
段々、紅葉が美しく色づく季節になりました。 私が修行した埼玉県新座市の平林寺は紅葉が綺麗なところです。紅葉の下で今年は色がいい、今年は遅いなどとお話しされてている観光客を見て、確かにそうだと思い季節の移ろいを噛み締めながら、終わりのない落ち葉掃きに汗を流していたことを思い出...
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並木 泰淳
2022年7月20日
施餓鬼
お盆の時期が近づくと、臨済宗寺院では施餓鬼法要が催され、水と米を供えて読経をいたします。 『救抜焔口餓鬼陀羅尼経』 によると、阿難尊者が静かな処で瞑想していると、焔口餓鬼(身体は痩せ細り、常に喉が渇き飢えている)が現れ、...
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並木 泰淳
2022年4月25日
桃李言はざれど、下自ら蹊を成す
春があっという間に過ぎ去ろうとしています。 『史記』李広伝賛に題の諺が引用されています。 太史公曰はく。伝に曰はく、「其の身正しかれば令せずして行はれ、其の身正しからざれば令すと雖も従はれず。」と。其の李将軍の謂ひなり。余李将軍を睹(み)るに、悛悛(しゅんしゅん)(誠実で謙...
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並木 泰淳
2022年2月7日
好雪片片、不落別処
中国宋代に成立した禅の公案集『碧巌録』に出てくる句です。 龐居士(龐蘊、中国唐代に生きた出家していない禅者)が澧州(現在の湖南省、中国南部の山岳地帯)の芍薬山に住職していた惟儼禅師を訪ねていきました。龐居士が寺を去る際には、多くの修行僧が門まで見送りにいったそうです。別れを...
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並木 泰淳
2022年1月20日
雪後始めて知る松柏の操、事難くして方に見る丈夫の心
中国の宋の禅僧 圜悟克勤禅師の言葉で『圜悟語録』に収録されています。 松や槙などの常緑樹は、四季折々の花々などの美しさに圧されて、普段は人目をひくことはありません。雪が一面に降り積もった時、青々とした枝葉をもって力強く風雪に抗う松柏の美しさに初めて気づきます。...
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並木 泰淳
2021年12月4日
過去心不可得、現在心不可得、未来心不可得
あっという間に秋が過ぎていきます。 昨日庭掃除をしながら、今年はキンモクセイが良く咲き、香りも素晴らしかったなと振り返りました。頷いてくださるかたも多いと思います。さて、頷いてくださった方はキンモクセイがどのような香りであったか思い出してください。思い出せるような気もいたし...
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並木 泰淳
2021年11月10日
無位の真人
臨済宗の宗祖 臨済義玄禅師は、 赤肉団上に一無位の真人有りて、常に汝等諸人の面門より出入す。 (各々の身体にはあらゆる範疇を超えた生命が躍動して、常に顔から出入りしている) と喝破され、 仏は己の中で生き生きと働いている...
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並木 泰淳
2021年9月27日
没蹤跡(もっしょうせき)
先般、東京の臨済宗寺院100ヶ寺で構成している任意団体「臨済会」の活動で、岐阜県美濃加茂市伊深の正眼寺専門道場を訪れました。この僧堂は私が住職する金龍寺が所属する妙心寺派の大本山 妙心寺(京都市右京区花園)の開山である無相大師 関山慧玄禅師の由緒地です。...
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並木 泰淳
2021年8月27日
仏心
まだ暑さの残る秋の日、自坊のある浅草から電車に乗って法事に出掛けました。 ターミナル駅を過ぎた頃、読んでいた本から幾分空いた車内を見渡すと、私と同世代の夫婦と子供の姿がありました。二歳位の男の子をベビーカーに乗せ、お母さんの胸元には抱っこ紐の中で寝ている赤ちゃんの顔が見えま...
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並木 泰淳
2021年8月11日
清寥寥 白的的
賛否両論を生みながら、オリンピックが閉幕しました。 招致が決まって皆が誇らしくジャケットの胸に着用していたオリンピックのピンバッジも、オリンピック延期決定からは多くの人が外してしまっているように思えました。 私たちは普段生活する上で、ものごとの価値や良識を重んじて日々過ごし...
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並木 泰淳
2021年8月5日
蛙鳴蟬噪、是れ仏声
夏真っ盛りになりました。金龍寺にはセミの抜け殻がそこかしこに見ることができますが、鳴く声があまりしません。同じ敷地内に住む者として、勝手ではありますが心配してしまいます。 表題の「蛙鳴蟬噪」は四字熟語として知られています。蛙や蝉がやかましく鳴くように、何も役に立たないこと。...
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並木 泰淳
2021年7月24日
施餓鬼
2歳半の娘がアンパンマンに夢中です。見たことがない方はほとんどおられないと思いますが、食べ物に関する登場人物がたくさんでてきます。 原作者のやなせたかしさんは宣撫官(占領地で占領軍の意図を知らせ、人心を安定させる役割を担う)として従軍し、正義というものが如何に信用できないも...
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並木 泰淳
2021年6月2日
江碧にして 鳥逾白く 山青くして 花然えんと欲す
涼しかった気候から、一転して暑さを感じる日がやってまいりました。 来年までの我慢だねと地元で話し合っていた浅草の三社祭は今年も神輿巡行はすべて中止になりました。 じっと篭っていた一年でしたが、巡ってみれば季節の移ろいはあっという間でした。不思議と今年は「来年は大丈夫」と思う...
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並木 泰淳
2021年3月10日
涅槃会
2月15日はお釈迦様が亡くなられた日とされ、涅槃会と呼ばれます。 涅槃とは、一切の煩悩から解脱した状態のことです。お釈迦様は、齢八十にして霊鷲山(インド ラージギルの北東にある地、お釈迦様が多くの説法をされた)を下りて、自分の生まれ故郷であるネパール中部地方に向かって旅立た...
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並木 泰淳
2021年2月7日
水を掬すれば月手に在り、花を弄すれば香衣に満つ
この禅語は唐代の詩人于良史作『春山夜月』という題の五言律詩の承句です。 春山多勝事 賞翫夜忘帰 <訓読>春山勝事(素晴らしい事)多し 賞翫(愛でること)して夜帰るを忘る <意訳>春の山に入ると普段見ることができぬ素晴らしいものに多く出会い、いちいち愛でていると夜になっても帰...
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並木 泰淳
2021年2月4日
父母未生以前の本来の面目
昨日、檀家さんが親子三代で墓参に訪れた折、五歳の男の子が「大きなカエルはいないよね?」と怖がっているのと「お寺のガマガエルは冬眠しているよ、でも間も無く土の中からでてくるだろうね」とお祖父さんが優しく教えておられました。...
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住職 並木泰淳

昭和57年生まれ。
学習院高等科、学習院大学法学部法学科卒業。
平林寺専門道場(埼玉県新座市)にて3年間修行。
全生庵(東京谷中、山岡鉄舟開基)、長福寺(横浜市戸塚区)での勤務を経て、
令和2年より金龍寺住職。
臨済宗妙心寺派布教師。臨済宗妙心寺派東京禅センター主任。